新型コロナウイルス感染拡大の影響で外出を控える人が増えており、イベントの中止もあって国内の消費は急激に冷え込んでいます。
しかしながら自宅で過ごす時間が増えたことで、売り上げが伸びている商品やサービスもあるようです。
宅配のトラックやデリバリーのバイクが忙しそうに街を走っており、生活と産業の全てが停滞しているわけではありません。
ドラッグストアやスーパーはまとめ買いの影響もあり、売上を前年の同じ月に比べ20%増やしています。
一方、娯楽・旅行関連産業は外出自粛の影響により、売上は前年の半分以下と大きく落ち込んでいます。
また酒類販売業は、家庭向けは増えましたが、居酒屋や飲食店向けの業務用は大幅な減収となりました。
ファストフードサービス業は、来店者が落ち込んでいますが、テイクアウトの割合が増えています。
ユナイテッドアローズの「Stay Home」コレクション展開
衣料品については、お店を訪れ商品を見て買いたいという人も多いと思われますが、手軽なネット通販のニーズが高まっています。
例をあげますと、ファッションブランドのユナイテッドアローズは、2月の実店舗における売上が-5.7%に減少しましたが、ネット通販においては+18.7%と売上が急増。
このコロナ不況の中でも、前年の同じ月に比べ+1.8%の売上増を記録しました。ネット通販の売り上げが全体を押し上げた形です。
ユナイテッドアローズでは「営業時間の短縮などで、都心の店舗を中心に来店客が減る一方で、ネットショッピングへの移行が進んでいる」と話しています。
ユナイテッドアローズECサイトでは「Stay Home」コレクションと銘打ち、部屋を彩るインテリアやキッチン雑貨、ゆったりと過ごすためのリラックスウェア、テレワークでのWEB会議におすすめなきれいめトップスなど、自宅で快適に過ごすための様々な商品を提供しています。
サブスクリプション(定額制)サービスの成長
NETFLIXやAmazon Primeビデオなどネット配信動画のサブスクリプション(定額制)サービスも、新型コロナウィルスの影響で利用者が増えている分野です。
自宅リビングで、シーズンを重ねている人気ドラマシリーズなど一気に観賞するチャンスでもあります。
欧州においては在宅勤務によるネットワークの渋滞緩和のため、配信中の動画の画質を落とすほどの事態となっています。
ただ、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、現在は映画やドラマなどの制作に関わるすべての撮影が中止されており、今後の業績にも影響が出てくる可能性があります。
サブスクリプションサービスは動画配信だけでなく、音楽・書籍・ゲームなどのコンテンツから、ファッション・美容まで選択肢が広がっています。
飲食業でも毎月おすすめのメニューやお酒を配送したりしたり、来店時にドリンクを一杯無料にするサービスがあります。
家庭用ゲーム市場にも特需が訪れていますが、大規模見本市や発売イベントの中止、在宅勤務への移行で多くの新作タイトル開発が宙に浮いています。
任天堂は中国でのゲーム本体などの生産に・出荷に遅れが出ており、発売が延期となる人気タイトルが出ています。
“巣ごもり消費”傾向から見た7つのタイプ
“巣ごもり消費”として、自宅での食事が増えたことによる食品や調理機器、余暇時間を過ごすためのゲーム・本・動画配信サービス、運動不足を解消するための機器・フィットネスプログラム、室内を快適にするための家具、休校措置による学習の遅れをカバーするための学習教材などさまざまな商品が売れています。
情報サービス業のNKBが行った意識調査によると、消費の傾向として生活者のニーズや意識を以下の7つのタイプに分けています。
1. おうち時間充実型
自宅での時間を豊かで充実したものにしたいというニーズ
2. エクササイズでストレス発散型
運動不足・ストレス発散のため、体を動かしたいというニーズ
3. 趣味に没頭エンジョイ型
インドア系の趣味・コンテンツを楽しむ意識
4. 趣味&実益を兼ねた手作り型
時間・手間をかけた実益を兼ねた趣味に興じている
5. 自己投資・スキルアップ型
余暇時間に自己研鑽に励んでいる
6. 自分見つめなおし型
断捨離など自分の生活の見直し・整理している
7. 癒し・リラックス型
不穏な日々の中で、癒し・リラックスへの希求
生活者は1つだけにタイプを決められるわけではありませんが、いくつかのタイプを組み合わせた形で“巣ごもり消費”を実践しています。
新型コロナウイルス感染拡大がおさまり消費者が“巣立ち”したあと、こうした新しい生活スタイルの消費が定着すれば、これからの経済へプラス効果が見込めることでしょう。
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